『[映]アムリタ』を読んだ

この前読んだ『バーナード嬢曰く。』の4巻で、野崎まどの『2』の前に読むべき作品として紹介されていた5部作、その最初の作品がこの『[映]アムリタ』。野崎まどの処女作でもあるのかな?

 

[映]アムリタ (メディアワークス文庫 の 1-1)

[映]アムリタ (メディアワークス文庫 の 1-1)

 

 

バーナード嬢の神林の説明「役者志望の主人公が天才少女と呼ばれる最原最早の撮る自主映画に出ることになって、で主人公は彼女の描いた絵コンテを目にした途端2日以上ぶっ通しで読み続けてしまう異常な体験をする」「自分に何が起きたのか、最原とは一体何者なのか・・・?」以外の予備知識を持たず、野崎まどが他にどんな小説を書いているのかも知らずに読んだのだが、いやもう衝撃的でした。そして神林が町田さわ子に続きを促されて首を横に振ったように、この小説を読んでしまった者が読まない者にその続きを語ることはどうにも不可能なのだった。

 

途中どんどん怖くなっていくのだけれど、作者についての予備知識を持っていなかったこともあって話がどう帰着するのか全くわからない。ほら、ジェフリー・ディーヴァーの作品なんか、主要な登場人物が結構シビアな怪我をすることはあるけど死ぬことはないからその点安心とか、そういう作風ってあるじゃないですか。初めて読む作家についてはそういう経験値が皆無で、かつ一人称の物語でその語り手である主人公がどんどん深みにはまっていってどうなるかわからないという状況は、読者も主人公とともにどんどん深みにはまっていくしかないわけで、分量的には一気にあっという間に読めてしまうくらいの短さなのだけれど、途中先を読むのが怖くて本を閉じ、他のことを始めてしまったくらいでした。

 

結局5部作と『2』、注文できるものは全部注文したのだけれど(Amazonで見たところ、『パーフェクトフレンド』のみKindle版しか入手できず)、先を読むのが楽しみなような怖いような・・・。