『進化論はいかに進化したか』を読んだ

再来年度から教える講義で、進化を軸に話そうかなあと考えている。しかし私は「進化」をちゃんと勉強したことがない。ちょいちょい論文は読んでるけど、そもそもダーウィンの『種の起源』すら通して読んだことがない(一部は読んだ)。こんなひどい生物学者もいるんだ、ということで安心する人もいるだろうけど、嘆く人も多いだろう。

 

ダーウィンの『種の起源』は、絶対そのうち全部読むぞ、という強い意思を持ちつつ、まず読んだのがこちら。

 

 

なんでまずこれを読んだかというと、本棚にあったからです。以前本屋で見かけて買っておいたんでしょうね。

 

第一部と第二部の二部構成。第一部はダーウィンの『種の起源』を基盤とした、「進化」についての解説。現在の知見と照らし合わせて、ダーウィンが『種の起源』で主張した進化論の、何が正しくて何が間違っていたのか、また世間一般で「ダーウィンの主張」として信じられていることの、どれが本当にダーウィンの主張で、どれが他の人の主張なのかが歴史的な経緯とともに解説されている。

 

個人的には、ダーウィンの死後にアルフレッド・ラッセル・ウォレスが『ダーウィニズム』という著作をものして、それが『種の起源』より売れた、という逸話がかなり衝撃的だった。いかにダーウィンダーウィンの進化論が神格化されていたかということでしょうか。今西錦司の進化論の話も面白かった。今西進化論が一時かなり人気があって、しかし現在では全く正しくないと言われている、くらいの知識しかなかったのだが、本書を読んで、いや今西進化論めちゃくちゃなんだが・・・と唖然としてしまった。当時のブームを知らない人間にとっては、なんでそんなめちゃくちゃな人のめちゃくちゃな学説がそんな人気あったの???と不思議で仕方ない(なぜ人気があったか、ということについても本書で解説されているのだが、それでも・・・)。

 

実際の進化論の中身については・・・。本書を一度読んだだけでは講義できるほどの知見はまとまっていないですね。まあ当たり前ですが。とりあえず『種の起源』と、関連書をもっと読みたいという気になったのでヨシ。

 

第二部は生物の進化に関するエッセイ。魚の進化の話では、大学のときに魚の分類学の講義をとったことがあって、「無顎類」とか「顎口類」とか、あったなーーーと懐かしく思い出した。ちなみにその授業は途中で離脱した。最近は途中で離脱しちゃうとGPAが下がっちゃうけど、昔はそんなことはなかったのね・・・。履修申請してもしなくても、好きな授業聞きに行くだけとかできたしね・・・。

 

調べたら、更科先生はたくさん著作を出されてました。他の著作も読んでみたい。

 

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