『ちゃんと知りたい!新型コロナの科学』を読んだ

昨年から、本を買っても積ん読にしておくことが多かったのだけれど、最近「すぐ読みたい!」という気持ちが戻ってきた。なんか昨年は読書的に停滞期だったのかな。

 

というわけでこちらの本も生協で注文したのが届いてすぐ読んだ。

 

 

これ、私みたいな「生物系研究者たるもの、新型コロナウイルス感染症の現状について知っておいたほうがいい」と日頃思ってはいるものの、毎週出てくる論文をフォローする気力・やる気はないというぼんくらにはうってつけの本でしたね・・・。COVID-19の「19」がなんに由来しているかすら知らなかったので、この本で「2019年に見つかったコロナウイルス感染症」という意味だということを知ったときは、あ、もう元は取れたと思いました。

 

もちろん本書で得た情報はそれだけではなくて、新型コロナウイルス感染症が最初に報告されて世界に広がった経緯から、MERS、SARSとの違い、抗体消失の話など、キーワードだけは知っていたけれど詳細のフォローができていなかった事柄についてすべて解説されていて、もうこれで生物系研究者として臆することなく日の当たる道を歩けます・・・ありがとうございます・・・という気持ち。

 

それから本書は、全体的に科学者サイドに立って書かれている感じが研究者の端くれとしてはすごく嬉しかった。例えば感染症流行1ヶ月で撮影された新型コロナウイルス電子顕微鏡写真の説明では「これが感染症流行から1ヶ月で撮影されたのは、人類の過去の感染症への対応と比べればすごいことです。」(p32)とあって、科学者としての筆者の興奮、科学者への信頼が伝わってくる。でも全体的には淡々と事実を述べるという姿勢で決して上から目線でも押し付けがましくもなく、「これぞサイエンスコミュニケーション」と思ったのでした。「おわりに」の文章にもじーんと来てしまった。こういうちゃんとした本が売れるといいなあ。